トラスト
近年、デジタル社会の進展とともに、なりすましや情報改ざん、データ漏洩といった社会的課題が深刻化しています。行政手続や金融取引、医療情報のやりとりまでデジタル化が進む中で、取引相手やデータの真正性をいかに保証するかが重要なテーマとなっています。
こうした背景から、PKI(公開鍵基盤)を活用したトラスト事業が急速に隆興しています。PKIは、 電子証明書による認証をはじめとした暗号技術によって、デジタル上の「信頼」を可視化・担保し ます。たとえば、電子契約やオンラインバンキングにおいて、利用者や取引先の真正性を法的に担保委された認証局が保証し、不正アクセスやデータ改ざんを未然に防ぎます。これにより、業務効率化やコスト削減のみならず、サイバー攻撃リスクの低減や法的証拠力の確保といった効果も生まれています。
ミッション
当研究所では、日本国産の包括的なアーキテクチャ設計を持つトラスト基盤の確立を目指し、様々な領域を横断したトータルでの社会課題の解決を図ります。
日本におけるデジタルインフラの海外依存体制への脱却、真正性保証によるサイバー犯罪の撲滅・脆弱性解消による社会貢献も目指します。

プロジェクト/研究紹介

次世代デジタルID・データ連携基盤
めぶくIDは、当研究所が仕様策定を担当し、厳格なセキュリティ要件と高いユーザビリティを両立させたデジタルID基盤です。自治体や企業の多様な認証・本人確認ニーズに対応し、信頼性と拡張性を重視したアーキテクチャの検討・検討を進めています。

属性認証
我々は、デジタルID基盤(めぶくID)を活用した当人認証技術に加え、年齢や資格、所属といった属性情報に基づいてサービスの利用可否を制御する認可技術の研究・開発を行っています。
本方式では、教育機関や資格管理団体などの属性管理機関が属性情報を管理し、その内容に基づいて認証局がクレデンシャル(属性電子証明書)を発行するという役割分担を採用しています。これによって、属性の正確性と運用の透明性を確保しています。
更に、国からの認定を受けた認証局を前提とすることで、各サービス領域のガバナンスに準拠した信頼性の高い運用を可能としています。加えて、国際標準を満たした技術範囲で匿名性を実現し、幅広いサービスに適用可能なセキュリティとプライバシーを両立した認証基盤の構築に取り組んでいます。

次世代決済手段
電子決済は不正対策と利便性の両立、海外プラットフォームへの手数料流出によるデジタル赤字が課題です。私たちは研究開発したデジタルID基盤と属性認証を核に、次世代決済の確立を目指します。事前の相互認証でなりすましを防ぎ、属性に応じた柔軟な信用設定で簡易な後払いと上限管理を実現。国内認証局の活用で不正時の追跡を迅速化し、決済基盤の国産化で海外流出を抑制します。

Web2とWeb3のトラストブリッジ
分散台帳を基盤とするメタバースや暗号資産などのWeb3は、匿名・擬名性がを強みとする一方で、実社会での利活用においては、資産の保有者との関係性を適切に示せないことや、本人情報を用いた場合の過度な情報拡散が課題となっています。
私たちはWeb2のID基盤を活用し、法的裏付けのある本人性や属性情報をWeb3資産・データに結び付ける新たな信頼レイヤの構築に取り組んでいます。本取り組みは既存のKYCを置き換えるものではなく、要件に応じて必要最小限の情報を証明できる補完的な仕組みとして位置づけています。年齢や居住国、資格などの属性を匿名化した上でユーザが選択的に開示できる設計とし、プライバシーやコンプライアンスに配慮しながら、Web3資産・データの安全で高信頼な利活用を可能とし、実世界との価値連携を前進させていきます。
実績
- 学会発表:
様々なセキュリティレベルのIDと電子証明書を取りまとめる手法について、国際学会に採択され、発表しました。(2024年09月) - 知財:
IDに紐づく属性認証の際に、属性情報の真正性を匿名化したままクレデンシャルを発行する手法の特許を獲得しています。(2025年10月)
