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デロイト トーマツ戦略研究所の調査・研究レポートを掲載しています。

国際情勢アップデート, 米国, 日米関係, 欧州, シンクタンク, コメンタリー

ミュンヘン安全保障会議が示す「新秩序」の論理:モジュール化、包括防衛、AI台頭を補助線として

米国の第2次トランプ政権による高関税措置や国際機関からの脱退、ベネズエラでの軍事作戦によって、国際情勢は緊迫の度合いを増した。第2次世界大戦後、米国が主導してきた国際秩序が揺らぐ中、国際経済・金融の関係者の間では、世界情勢を見極めるための場として、「ミュンヘン安全保障会議(MSC)」に対する関心が高まっている。「Under Destruction(破壊の最中)」に開催された2026年のMSCを振り返り、「モジュール型の枠組み」、「トータル・ディフェンス」、「AI(人工知能)台頭」という3つの論点を整理したい。3つの論点は、MSC閉幕直後に始まった米国によるイラン軍事攻撃や、今後の国際情勢を分析するための補助線となるだけではなく、日本の政策・企業の戦略を固めるうえでもヒントとなる。

注目レポート

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  • 英国がCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、通称TPP)に署名した。経済安全保障が重視される現状で、英国のTPP加入は日本にとって、デジタル政策の推進やルール形成という観点から進展が予想される。国際事業やデジタル領域を手掛ける日本企業は注視が必要である。前編となる本稿では、英国のTPP加入の意義、日本企業にとっての課題を整理する。

  • 製品・サービス化に成功しても収益化に苦労するのは、上場前のスタートアップが経験する「死の谷」と呼ばれる万国共通の関門だ。しかし、日本にはもう一つ、スタートアップが避けて通れない、「第二の死の谷」が存在する。それは、上場に成功しても、株式市場の主要な資金の出し手である、機関投資家からの支援が得られず、成長が止まってしまう現象だ。スタートアップが上場後も成長を続けて時価総額を増やしていくための方策を提言する。

  • 生成AI(人工知能)の進化によって、AIが雇用にどのような影響をもたらすのか世界的に関心が高まっている。産業革命以降、イノベーションにより誕生した新技術は時に雇用への脅威とみなされ、「ラッダイト運動」のような激しい抵抗もあったが、総体としては人類を豊かにする新しい職業を大量に生んできた。AIが雇用にもたらす影響を概観し、日本のチャンスと課題を整理する。

  • 「宇宙」と「防衛」を、日本の新しい成長戦略の要とする――。確固たる信念に基づき、新会社「デロイト トーマツ スペース アンド セキュリティ合同会社(DTSS)」が発足した。11人のリーダーたちの提言メッセージをまとめた。

  • 米国では中国を念頭においた対外投資規制の導入に向けた検討が本格化している。これは、半導体関連、人工知能(AI)など重要・新興技術分野への対中投資を監視するものである。欧州委員会も対外投資審査の導入を検討していることから、今後日本国内の議論にも波及してくることが予想される。

  • 生成AI(人工知能)を情報収集や資料作成、顧客対応に活用する動きが広がっている。企業が生成AIを安全に使うためにはどのような点に留意すべきなのか。社内のルール整備、利用促進、適切な情報発信という三つのプロセスについて整理する。

  • 対話型生成AI(人工知能)を社会活動やビジネスに活用する試みが広がりつつある。政府は「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」(成長戦略)で、AI開発・利用の拡充を重要施策に掲げた。ただし、主だった生成AIを日本語で利用した場合、現時点では英語ほど高い精度を得られていない。その理由と精度向上に向けた課題を整理する。

  • 政府がエビデンスなどの合理的根拠に基づいて政策を立案する「EBPM(Evidence-Based Policy Making)」の本格的な導入を推し進めている。2024年度予算の編成において国の全5000事業にEBPM手法を展開させ、2024年4月にはその情報をデータベース化したシステムの一般公開も予定している。EBPM導入で目指すところは、これまでの経験や前例踏襲といった定性的な政策立案からの脱却であり、企業におけるイノベーションや成長産業創出のためにも欠かすことができない。

  • 政府はスタートアップ5カ年計画で10万社の創業を将来の目標に掲げている。目標を達成するには、起業家の育成とともにスタートアップ企業で働く従業員の確保が欠かせない。転職を希望する働き手のチャレンジを支援するとともに、企業の経験者採用を後押しすることも必要だ。転職後の試用期間について再考の余地があるのではないか。

  • 2023年の骨太の方針で、スタートアップ育成にインパクト投資という手法を積極的に活用する方針が示された。インパクト投資はスタートアップとの相性が良い。それゆえ、金融庁が主導する形で、インパクト投資の促進のための環境整備が進んでいる。インパクト投資への共通理解が形成され、投資人材の厚みが増し、投資コストの削減が進むと、スタートアップ育成の切り札となるだろう。