地方創生[1]の古くて新しい政策ツールに、ふるさと納税があろう。2008年5月の制度開始以降、所得再分配と産業振興を通じた地域活性化を担い、2023年度には寄附金額1.1兆円、利用者数1千万人に達した。しかし多くの場合、寄附金集めのチャネルにとどまり、納税者と地域とが新しい関係を構築する機会にはなっていない。ふるさと納税を、地域間の所得再分配を通じた産業育成への好循環につなげるためには、都市住民らを地域の潜在的な応援団とも言うべき「関係人口」[2] とする仕掛けが必要だ。まずは自治体が、マス向けで地域の魅力を伝えにくいプラットフォーマー頼みの状態からさらに進化する必要がある。そのためには、個へアプローチするD2C(Direct to Consumer)の考え方がカギとなろう。そして共感重視のアプローチとの両利きで域外の個人・企業との共創が促されれば、「自立的な地方経済」の実現が近づくはずである。